2015年2月27日金曜日

3Dプリンターで尺八を作る

先日、九州の黒田たつあき師匠の製作した3Dプリンターによる尺八が贈られてきた。
内径はOZ銘と同じなので、楽しみにしていた。

プリンターが小型で6センチ前後のものを幾つか作って、接合してあるので、
接合部が出っ張っていて、幾分竹で作るのとは違うので、筒音の倍音などはイマイチだが
音色はOZ銘の音がするし、演奏に十分耐えられると思う。
プラ管の「悠」よりは遥かにすぐれている。

今後、30センチ程度を一気に作ることが出来れば、3Dプリンタで上管、下管を作り
内面のレベリングが上がれば、完全に鳴る尺八が出来ると思われる。

我がOZ銘も、内径はツールで製作するので、1/20ミリ精度が出ているのだが、外形が
天然の竹。尺八を数本作ったときの近似は90%くらいだとおもう。歌口の太さや幅とか
手孔の深さなどで・・・・・10%は調整しなくてはならない。

しかし、3Dプリンタなら、再現性は100%と考えてよいであろう。「悠」も型から外すタイミングで
かなり近似性は失われるが、それでも許容範囲であろう。ところが、「悠」は寸法を変更できない。
3Dプリンタは、一本毎設計値を変えられるから、性能の向上には圧倒的に楽だ。

OZ銘の改良は、10本同じものを作り(塩ビ管に漆地を詰める)2本変更すべきところを
変更して、吹いてみる。また、プロから素人まで吹いてもらう。
良ければ、全部変更。(大抵は悪くなるので膨大な時間がかかった)
今でも変更するときは、上記のものを使って、毎日変更などの実験をしている。
(なので、1年程度で新バージョンになる)
8寸が基準なので、8寸を変更すると他の寸法も変更する。
1尺1寸から、2尺3寸まであるので・・・・・・・・・・

一部内径を変更すると簡単に言うけど、大変な時間がかかります。
普通の尺八作りなら、適当に削ってみたり、足したりすればいいのだが、再現性がないと
実験の意味がないから、内径を削るツールから作ることになる。もちろんゲージもだ。

我輩は、旋盤も好きなので皆さんが思うよりは楽しんでいるのですが・・・・時間が問題です。

早く3D尺八のめどが立たないかと期待に胸膨らみます。

世界一カッコいい形で、世界一高性能の尺八の誕生は近いですよ。

尺八の姿

一般の人は、尺八って藪から切ってきて、只の竹のパイプから美しい音が出ると思っている。
なので、竹のカッコのいいもので、演奏しないと聞く人はがっかりするらしい。

これは、我輩のいつも言っていることと矛盾するのだが、事実はそうだ。
尺八の材質は何だっていいのだ。木はもちろん、石、瀬戸物、骨、塩ビ、パイプなら何でも
同じ性能のものが作ることが出来る。

しかしだよ、演奏は、単純に聞きに来るわけではない、見に来るのかもしれない。
そうなると、だらしのない、Tシャツで、水道管尺八など吹いても、馬鹿にして聞いてくれない。
紋付袴で、黒光りした太目の尺八を、下手でもボヮーーーンと適当に吹けば拍手が来る。
ま、これは極端だが・・・・・

尺八がかっこよくても、性能が悪くてはお話にならないよね。
カッコいい尺八で、性能も最高でなくては。ねーー

我輩は、尺八を求めに来る方に、数本あって選ぶ場合
「中身は全部同じです。竹の形で値段が決定します」と申し上げています。
最高の形の尺八と、最低の形の尺八(塩ビ管の調律管)でも5万円と違いません。
よって、買いに来た人は、全員一番高い尺八を買っていきます。
わたくしは、作る手間は全く同じですから。

性能オンリーだとか言っても、同じに演奏できるなら、僅かな出費ですむなら
最高の形を買いたくなるのは当然ですよね。

7孔尺八を

今まで尺八を吹いていた人で5孔の人が7孔を吹こうと思うとき。大抵
「尺八入門の時、使用していた練習管を7孔にして・・・・・今使っているのはもったいないので」と
言う。

ま、こういった人は、絶対7孔尺八は習得できないと断言できる。

7孔尺八を、甘く見ると言うか、舐めているからであろう。
5孔尺八が高等で、7孔尺八は、低級と思っているのが丸出しである。

我輩が親切に「現在使っているのは5孔設計でしょうから、エンカ尺八を使ったらいかが」と
進言しているのにだ。
その、音階もママならぬ練習管を7孔にしたって、絶対というほど音が狂っている。そのまま
練習をしていると、とんでもない音痴が出来上がる。

また、7孔に自分で出来る達者なひとならいいけど、依頼するとン万円かかる。安いところは
粗雑で、只でさえひどい練習管尺八が駄目になる。

エンカ尺八は教材まで入れて5000円きりしない。音は出やすく、音階も合っている。
その練習管より何倍も優れていると自負している。

「やっぱ、塩ビ管じゃねーー」
そういう性能より形を重んじる人は、演奏は駄目ですね。

2015年2月16日月曜日

1尺7寸管

かなり以前に、依頼されていた1尺7寸管。
途中まで製作して、エイジング(放置して自然変形が収まるまで)して置いたのだが

1尺7寸管は、8寸管の半音上の音階を奏でるのだが、尺八主体で演奏する場合は
ほとんど使用しないであろう。
民謡や、カラオケなど歌の伴奏の場合は、半音上の音階はとても難しい演奏に
なってしまう。メリだらけ。

数本同時に製作を開始したが、音程を調律するとき何となく違和感がある。
いつも作っている8寸や6寸と半音違いというのは、何となく落ち着かないものである。

また、この7寸を依頼してくれているひとは、9寸も同時にたのまれていて、これも
エイジング状態で止まっている。

先日2尺1寸管を納品したときに、「あのーー、7寸と9寸は何時ですか」と言われた。
「それで、1尺3寸から2尺3寸まで全部OZ銘になるので嬉しいのですが」
翌日、2本分振り込んできた。困った。


2015年2月7日土曜日

ピー竹の画像

ピー竹2
参考に作ると良いでしょう。
パイプは特注。これで尺八を作ろうと大量に仕入れてある。
エンカ尺八のように、水道管20ミリにソケットをはめ込んでも良い。

手孔は、数個開けてもいいけど、そちらに神経が行ってしまうので・・・
今後、もっと高い位置に開けて(Dの位置)、レーーミーーーと吹けば
自動的にオクターブ上に行くように考えているのだが・・・・
あんまり、凝って手間が増えると、エンカ尺八のほうが良いですから。

写真の手孔は、全閉ミの半音Fですが、正確には難しいですね。

ピー竹の活用

ピー竹は思いのほか、「使える!」

1 一番音の出やすい位置を、角度、回転方向角度、
下唇に押し付け強さなどを、体で習得する。

2 オクターブの練習。これは案外難しいかもしれない。

3 ロングトーン。チューナーを見ながら針がふらつかないように
長い音をだす。特に立ち上がりの音と、音の終わりに注意する
目標20秒。

4 「メリ・カリ」の練習。上記に通ずるが、顔との角度を変える
ことによる音の変化を習得する。
半音上の孔を空けたので音の高さを察知する「耳」の訓練が出来る。

5 ビブラート(首振り)が音が極めて簡単に変化するから(短いので)
振幅速度、深さなどに気持ちが習得できる。

6 20センチ強なので持ち運びが便利。風呂で吹いても水面に着かない。
車内で吹いても、ハンドルに当たらない。これこそ、尺八吹き必携。
もしかしたら、達人になるほど役立つかもしれない。

販売はしません。(手間が大変なので)
自作をお勧めします。(ピッチ調整がないから誰でも出来る)
直接の弟子には、配布しています。

2015年2月6日金曜日

ピー竹 再びの

エンカ尺八入門者の皆さんが最初に当たる壁。
音が全然でない。

5年ほど前に「ピー竹」という、長さ20センチほどの
歌口部分を作って初心者に渡したことを思い出し。
再び作ってみた。

手で握って(どのように持ってもよい)音を出すことに専心する。
出来たらオクターブ上下とも出るようにする。

ついで、音を安定して出るように、ピー竹を上下に動かしたり
回したりして、音の変化を聞くようにする。
同じ強さで吹いたとき最大の音がする位置が見つかるはずだ。

短いので息は多くは必要としないが・・・・・・
長く続ける(ロングトーン)の練習をするとよい。

10秒続いたら、音を安定させる。
このピー竹は、ミ(E)の付近の音が出るようにしてある。
(気温などに影響が受けやすいので、Eにこだわらなくてよい)
チューニングメーターを見ながら針がふらふらしないように
音の最初から最後まで、出来るだけ長く。

今回のピー竹は、ひとつだけ手孔を開けた。これは半音高い音
が出る位置。目的は、「メリ」の練習用。
孔を閉じて「E」孔を開けても「E」(E#ではないよ)を出す練習。

短いので簡単にメリの練習が出来る。
最初はチューナーを見て、E音を確認する。
ちょっと慣れたら、全部閉じた音を耳で記憶する。
そして、手孔を開けて同じ音を吹く。
音を聞くという、尺八で(いや音楽で)一番大切なことが
習得できるようにしてある。

遊びに来れば見せますよ。